辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
エピローグ
 辺境伯領に戻ってきてから三日目。
 エルは厨房にいた。今日の夕食は何にしよう。
「お、ここにいたのか」
「にぃに達揃ってきた!」
 ラースを先頭に三兄弟が入ってくる。今日はラースは辺境伯家の跡取りとしてロドリゴの手伝い、メルリノは夕食の料理当番、ハロンは今、見回りから戻ってきたところ。三人そろってエルを構いに厨房に来たみたいだ。
「腹減ったー」
「僕も。何かありますか?」
「クッキーがあるよ!」
 ハロンとメルリノは、そろそろ小腹が空いたみたいだ。バタバタと食料保管庫にかけていったハロンは、チョコレートクッキーの缶を手に戻ってきた。
 プレーンなクッキーに、溶かしたチョコレートを搦めたもの。ネーネのおかげで、以前よりずっとチョコレートの入手が楽になった。
「蜂蜜クッキーも美味いけど、チョコクッキーもいいな」
「砂糖もずいぶん入ってくるようになりましたからねぇ」
 真っ先にチョコクッキーに手を伸ばしたラースが幸福のため息をつき、メルリノがそれに同意する。
 流通の問題で砂糖は手に入りにくかったけれど、ロドリゴが頑張って辺境への割り当てを増やしてくれたし、王都経由ではなく魔族領経由でも入手できるようになった。
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