辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
 火のところで調理を担当しているのは、今日が料理当番の騎士達だ。焼きながら、頃合いを見てせっせと口に運んでいるから、ある意味今日は役得かもしれない。
「……あれ?」
 ある程度、お腹が一杯になったところでエルが見たのは、隅の方でふくれっ面をしている騎士だった。
(ええと、たしか……クレオ・ブローク、だったかな?)
 彼は、今日王都から来た騎士だ。到着したメンバーの中では一番若い。
 黒い髪は短めに整えられている。じっと周囲の様子を見ている同じ色の目には、面白くなさそうな色が浮かんでいた。
「……ラスにぃに」
「どうした?」
「あの人、食べてないみたい」
 エルが視線でクレオを示すと、ラースは口の中で「あー」とつぶやいた。それから、エルの方に身体を傾け、ひそひそと囁(ささや)いてくる。
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