辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

スカイランタンに願いを


 「…………ヒルド……手を離せ……」


 テオ様が私とブルンヒルド様を引き離してくださったので、とても助かったわ…………気軽に女性とスキンシップなさるお方なのかしら……


 「なんだい、手の甲にするのは挨拶だよ~皆しているだろ?減るわけでもないし」

 「減る。とにかく妻に触るのは禁止だ」


 ブルンヒルド様に触られた私の手の甲を払うテオ様に笑ってしまう。時々子供みたいなところがあって、やっぱりクマさんのように思ってしまう時があるわ――


 「ヒルド、今日はどのようなご用で来たのです?」

 「うん?だからこのお祭りに……」


 「そのような戯言は、私とテオドールには通用しませんわ。何か思惑があっていらしたのでしょう?」


 ステファニー様は確信を持って聞いていて、お祭りの為に来ているという言葉を信じていた私は驚いた。きっとテオ様も気づいているのよね。


 「お前の事だから、お祭りを口実に私の妻を見に来たのだろう?」

 「……………………まあね、だってテオドールがいつまで経っても紹介してくれないからさ~~ステファニーはもう仲良くなっているし私だけ除け者は酷いよ……」


 そう言っていじけている殿方を見るのも初めてで、驚きの連続だわ……
< 105 / 212 >

この作品をシェア

pagetop