辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 「あの…………ブルンヒルド様。よろしければご一緒に回りませんか?きっとテオ様もステファニー様もお喜びになると思います」

 「…………だよね!そうだと思うんだ~ロザリアは優しいね!皆で一緒に回ろう~」


 突然テンションが上がるのでびっくりしてしまう事が多いけど、賑やかな人……なのよね?


 「はぁ…………では行きましょう、ヒルド」


 ステファニー様はブルンヒルド様の襟を掴んで引っ張って行った……ステファニー様、男前だわ。そうだ、テオ様に確認しなければ。


 「テオ様………………あのお方がステファニー様の想い人、なのですよね?」


 私がこっそりテオ様に聞くと「ああ……そうだよ」と答えてくださった。やっぱり――――でも二人には微妙な距離があるような……


 「あいつはあいつなりにステファニーを気遣っているんだ。多分大切だからこそ…………」


 ああ、そうなのね…………ブルンヒルド様はきっとステファニー様の為に距離感を間違えないようにしていらっしゃるんだ。ステファニー様との関係を壊さないように…………お互いに特別だと思っているのに恋人には発展しないなんて、もどかしいような――


 その後、皆でカフェに入ってお茶をしたり、バルーンアートの出し物を見たり、お土産を買ったりしていると、あっという間に日が落ちてきて夜が近づいてきた。

 確か夜にはスカイランタンを飛ばすイベントがあるとテオ様が仰っていたと思う。どういうものか想像も出来ずにいたので、私はそれをとても楽しみにしていた。
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