辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 「そうか、ご苦労だったな。やはり籠城か……まさか後ろから来ているとは思っていないようだな。後ろから城内を制圧しながらすぐに前方の兵が入れるように城門を開ける。そちらからも攻め入り、前後で挟み戦意を喪失させるのだ」

 「はっ!」


 テオ様がテキパキと指示をしていく。籠城は予想済みだったのね……この様子だと制圧に時間はかからなさそうだけど、油断は禁物だわ。


 「おお~~怖っ!さすがに閣下の手にかかると敵さんも蟻のように見えてしまいますね~」

 「………………レナルド、ふざけてないで行くぞ」

 「はいはい」


 レナルドが軽い口調でテオ様をからかう……テオ様ももうレナルドの正体を知っているのよね?二人の軽いやり取りに少し和んでしまったわ――


 「……では、行こう」

 「はい」「はっ」


 私も兵たちも皆、声を潜めながら返事をした。


 さっきレナルドと下りて来た階段を音を立てずに上っていく……ここはもう城内なので、どこに兵がいるか分からない。慎重に動かなければ…………しかし上った先には兵はおらず、皆壁伝いにそっと移動した。途中、上に上がれる階段もあり、そこで兵も分かれる。
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