辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 「ここの庭園の横に菜園を作りたいなって思っているの……エリーナも知っているでしょ?私が畑仕事が好きな事を…………」

 「ええ、知っていますとも…………あのような事をロザリア様に二度とさせたくはないと思っていましたのに……本当にお好きでやっていたのですね。ここに来てまでやりたいと申されるとは…………」

 「畑仕事をしている時って何も考えなくていいから、すごく好きだったの。嫌な事も忘れられたし、疲れるとよく眠れるから……」
 

 「姫様…………あ、ロザリア様でしたね!」


 昔に戻ったような気持ちになったのね。エリーナはちょっぴり照れながら訂正し、苦笑いしている。


 「分かりました、庭師の方に声をかけてきますね。ロザリア様が楽しそうにしている事が私の願いなんです。だからお任せください!」

 「エリーナ……いつもありがとう」


 エリーナには本当に頭が上がらない。私には血の繋がった家族は家族とは言えない人ばかりだったけど、エリーナは血の繋がりなどなくても家族と言える唯一の人間だわ。
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