【Amazonベストセラー入りしました】偽花嫁として嫁ぎました。バレたら処刑されるとハラハラしていたらイケメン王が溺愛してくるんですが?

 リオ・ナバ国王の髪は、月の光に輝く砂漠の砂のような金色だ。後ろは短く、前髪は少し長めに整えている。
 それが男らしい顔立ちによく似合い、アルファのたくましさと力強さを強調していた。若さに似合わぬほどの国王の威厳も全身から漂っている。
 誰もが自然に頭を下げてしまいたくなるような一国の王の姿だ。
 そんなリオ・ナバ王は、柔らかな笑みを浮かべて、扉の前から動かない。じーっとこっちを見ている。あまりに強い視線なので、フウルはまたなんともいえない甘さのあるドキドキを感じ始めた。
 顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。じっとしていられなくて、下を向いたり上を向いたり⋯⋯。それからやっと挨拶をしなければと気がついた。
「⋯⋯陛下のお心遣いに、か⋯⋯、感謝いたします」
 丁寧に膝を折って礼をした。
 すると急にリオ・ナバ王の表情が変わった。笑みから、なにか心配なことが頭に浮かんだような顔に——。
 王が、軽く手を上げて従者たちに命じる。
「王女はお疲れのようだ——。皆、下がれ」
 
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