【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

恋愛偏差値というもの



 オルビス達とすっかり話し込んでしまったのか、帰る頃には日が傾き始めていた。彼らと別れて貧民街を殿下とゼフと3人で歩く。相変わらず殿下は手を離してくれない…………男性と手を繋ぐ事に慣れていない事もあって、むずがゆい気持ちを隠せない。

 
 「……殿下…………そろそろお手を離していただいても一人で歩けますわ」

 
 私はにっこり笑いながらそう告げた。でも殿下が手を離してくれる気配は全くない。それどころか足取りは早くなるばかりで、一刻も早くここを出たいのだと伝わってくる。

 
 「あの…………こんなところに一人で来てしまって、申し訳ありません。まさか殿下が来ているとは思わず…………」

 
 私がそう言うと、殿下はピタッと止まってしまう。

 
 「……………………では、私が来ていなかったら…………ここだけではなく、教会にも乗り込んでいたのか?」

 「…………………………」

 
 これはどう言えば正解なんだろう。私はすっかり答えに困ってしまった…………私の本音はYesだ。正直この領地に来たのも貧しい子供たちの生活改善の為に来たわけだし、自分の領地で不正が見つかってそれを見過ごす選択肢はない。
 
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