【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

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 私がそう言い終えて殿下の顔を見上げると、明らかに物言いたげな表情で固まっていた。滅多な事では表情は崩さない殿下が、流石に驚きを隠せないでいる。
 
 そりゃそうよね…………殿下から絶対に離れないとばかりにストーカーのような行為を繰り返していた人物が、自分から離れると言った上に自然と戯れたいだなんて、オリビアが絶対に言いそうにない言葉を言っているんだもの…………でも前世の私は自然大好きだし、働くことが好きだった。
 確かにお金の為に働いていたのだけど、それ以上に働く事が好きで、夫との関係以外は充実していたのよね。子供たちと自然の中で遊ぶのも好きだったし、貴族としての生活よりもよほど楽しく暮らせると思う。

 そう考えると早く領地に行きたくなってきたわ。

 「殿下に会えなくなる事は、とても寂しいですが…………ゆっくりと心身ともに癒されたいと思っております」


 あなたと離れた方が癒されると思いますの。そういう皮肉も込めて言ったつもりだったのだけど…………殿下はとにかく動揺した様子で言葉を絞り出すのがやっと、という感じで「わ、わかった…………」とだけ呟いて沈黙してしまった。

 「………………殿下?」
 
 しばしの沈黙が気まずくて私の方が先に言葉を発してしまう。やっぱり動揺しているのか次の瞬間、殿下は突然立ち上がり、扉の方へ歩いて行ってしまう。
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