【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

港の管轄


 
 
 「…………誰か来ましたわ……我が国の教会の衣装を着ている人物が……あれはもしかして…………」

 
 先頭を歩いている聖職者が、一番高位なのだと感じる。ヴェットーリ司教かしら…………
 
 黒いドルレアン国の船からおりてきた乗員と話し始めたその高位聖職者は、荷馬車が近づいてくるのを指さしながら笑っている。ドルレアン国の船員の外套には胸に国のマークが刺繡されていて、フードを被っているからか顔はよく見えない。


 荷馬車はゆっくりと聖職者と船員の元に近づき、止まった。


 「ようやっと着いたか……待ちくたびれたぞ。早く荷物を渡さないか。船が出港してしまう」

 「はっ申し訳ございません。ただいま下ろします」


 御者になりきったゼフと本物の御者が二人で荷下ろしし、私とヴィルは荷馬車の奥で息を潜めている…………夜だからか、全然見えていないようね。
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