【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~


 このチャンスを逃すものかと、私はすぐにこの話に乗る。

 父上としても虫けらのような末娘が隣国との同盟として役に立ち、しかも正妃になるのだ……断る手はない。



 すぐにこの話はとんとん拍子に進んでいく。


 というのも国王自らこの結婚を望んだと、父上から聞かされていたのだ。

 物好きな人間がいるものだな――――美人というほどの見てくれでもないのに。私は会った事もない男性が自分を妃にと望んでいる事について不思議に思いつつも、誰かから必要とされる事が嬉しくもあり、満更でもない気持ちだった。


 実際嫁いでみると、国王アレクシオスはとても美しく清廉な男性だった。それはもう世間知らずの小娘がのぼせ上がるには十分なほどに――――

 この男性が自分を正妃にと望んでくれたというのは、自分が思っていたよりもずっと深く私の心を満たした。

 
 同時にそれ故に闇もまた深くなっていく。
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