【書籍化&コミカライズ決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

 「はい。腐敗している諸侯をあぶり出そうとしておられる。経営が困難になってくると……人は犯罪に手を出し始めます」


 民衆は王家に対して感謝の気持ちを持つけど、その裏で収入が減って苦しくなるような教会や諸侯は、ピリピリしてくるわ。

 
 「民にとっては嬉しい政策なので、おそらくこの前のようなオリビア嬢が民に詰め寄られるような事は、今後なくなっていくと思います。その代わり……」

 「この政策に気に入らない貴族派たちの動きに注意しなければならないのね」


 閣下は静かに頷いた。恐らくお父様が心配しているのは、きっとそういう方面での心配なんだと思う。

 今回の件は私とヴィルが教会の悪事を暴いたせいでこのような政策が行われるようになったのだから……


 それにデラフィネを手に入れるにしても財が必要になるし、今回の政策はそこを締め付ける意味もあるのかもしれない。これ以上好き勝手させない、という陛下の意思を感じるわね。

 それにしても――――


 「この政策が提案されて、よく貴族派が納得しましたね…………絶対に反対して否決されてしまうような案だと思うのですが」

 「今回ばかりは陛下の圧が凄くてね……”これからは我々が教会を支えるという政策だ。領地に聖ジェノヴァ教会の者がいる諸侯も多々いる事だし、世話になっているのだから……喜んでやる、と言うべきだろう?”と言われれば、教会と懇意にしている貴族派も賛成せざるを得なかった。きっと今頃、貴族派も教会も後悔しているでしょう、司祭と司教を大人しく処分していれば良かったと」

 「そうですわよね、その方が王家は信者から目の敵にされ、教会も収入源を失わずに済んだのに……」

 「何がそんなに父上の逆鱗に触れたのだろうか…………ここまでの事を推し進めるほどだから、余程の事があったのだろうけど」
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