【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

まさかの異世界転生


 それにしてもこんな美少女が私だなんて未だに信じられない。おもむろに頬をつねってみたら、案の定とっても痛くて涙が滲む。


 「お嬢様!何をなさいますかっ……」

 
 せっかくの美しいお肌が!とあたふたする姿がとても可愛い…………とにかく自分は何者で、この女性は誰なのか理解する必要があるわ。
 オリビアという名前にラベンダーピンクの髪、中世ヨーロッパのような部屋、ハニーブラウンの髪を1つに束ねている女性…………待って、心当たりがあるわ。ひとまず女性に自分の本名を聞いてみる事にした。


 「ねぇ、私の本名って……」
 
 「お嬢様のお名前ですか?私のような者が口にして良いのか迷うのですが……」と口ごもるのでどんだけ偉い人物なの……と思いつつ「構わないわ」と催促するとおずおずと口にしてくれた名前に仰天した。

 
 「オリビア・クラレンス様です。」

 「?!」

 ……………………そ、その名前にはとても心当たりがあるわ…………私が大好きだった恋愛ファンタジー小説に出てくる登場人物じゃない!!オリビアは確か悪役令嬢で、最後は処刑される運命なのよね…………。
 
 病死する前の私の唯一の趣味が小説を読む事で、忙しい合間をぬって少しづつ読み進める事が大好きだった。特に大好きで読み込んでいたのが「トワイライトlove」という小説なんだけど、王子様が異世界からの聖女と共に世界を平和に導き、二人は結ばれるという王道の恋愛ファンタジー。
 王子様は元々公爵令嬢と婚約していて、聖女の出現によって立場がなくなった公爵令嬢が王子様だけは奪われたくなくて、あの手この手で聖女を排除しようとするのよね…………それこそ社交界で大恥をかかせてみたり、暗殺者を雇ってみたり、毒殺しようとしたり…………全部失敗するんだけど。
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