【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

自分の気持ち



 しばらく聖女の力に呆けていた私は、こんな力を持った人間に勝てる気がしない、と立ち尽くしていた。


 それにしても店主が言っていた、受け取った物が爆発したっていうのは…………誰かがこの小火を意図的に仕掛けたって事?タイミングよく聖女が現れるのも気持ちが悪い感じがする。

 そのせいで罪もない民があんな大怪我を負う事になるなんて。


 そんな事を考えていると、ヴィルが聖女の力を見て「さすがだな」と呟いている声が聞こえてきた。

 
 その言葉を聞いた瞬間、現実に引き戻された感じがして、こうして2人は親密になっていくんだと嫌な予感がひたひたと近寄ってくる。

 足が地面に張り付いたみたいに動かない。



 「もう!ヴィルが引き止めていなかったら、もっと早く着いていたのに……」


 聖女様はヴィルのところに行って文句を言っていた。ヴィル、か…………随分仲良しみたいだし、これは決定的かも。

 
 「オリビア様!ご無事で!」


 イザベルがそう言って一番に駆け寄ってきてくれたので、何だか泣きたい気持ちになってきた。今はこの場から一刻も早く去りたい。

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