【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~

会えない間の事



 「そう言えば聖女様はどうしたの?イザベル達も来ないし……」

 「あーー……君を追うのに必死で、リチャード達に後を任せてきたんだ。でも彼らなら現場を収めて、聖女を王宮に送り届けてくれるだろう」

 「それはそうだけど……迷惑かけちゃったわね。後で謝らないと」


 あれから私たちは丘の上に座って、街での一件や今まで会えなかった時の事を話し始めた。


 「ヴィルは聖女様のお世話係なのよね?」

 「ああ……突然召喚された聖女は右も左も分からない様子だったので、ひとまず私がこの世界の事を教える事になったんだ。しかしあの聖女が……かなり騒がしくて、仕事がなかなか進まなくて困っている。何をするにも同行しなければならないし、教会の者も手を焼いているようだ」

 「ヴィルはとばっちりだけど、教会は……自分たちで無理矢理召喚しておいて、手を焼いているだなんて勝手ね。どうせこんなはずじゃなかったとか思っているんでしょうけど」

 「聖女の方もいきなり未知の世界に連れて来られたのだから、不安になるのは当然の事だ。そう思ってお守りをしていたんだが…………主に愚痴を聞く係といった感じだな。仕事が進まないから君にも会いに行けないし、ニコライはピリピリしているし」


 あまり愚痴を言わないヴィルがブツブツいっている姿は、なんだか幼くて可愛いわね。


 「それでも最近は力の使い方が分かってきたみたいで、ようやくお守りから解放されると思ったんだ。今日もしっかり仕事をしていたし、そろそろオリビアのところに通えるなって」

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