【書籍化決定】悪役令嬢に転生した母は子育て改革をいたします~結婚はうんざりなので王太子殿下は聖女様に差し上げますね~


 「オリビア様…………」

 「イザベル?そこにいるの?」


 誰が聞いているか分からないので、出来る限り小声でイザベルの声に応えた。


 「も、申し訳ございません……私がついていながら、このような事態になってしまうなんて…………」

 「……イザベルは何も悪くないわよ。こんな事、誰も想像できないんだから。それにしてもここって…………凄く寒いわね……」


 今さら気付いた。ここはとても寒い…………今は初夏だけど子爵領は北に位置しているし、肌は出さないドレスを着てきたおかげであまり寒さを感じなくて済んでいる。夜会に着るような首元や腕が大きくあいたドレスなら凍えていたでしょうね。


 「オリビア様、私のドレスの右腰の部分に小さなナイフがあるのです。これを何とか取ってもらえませんか?暗いので難しいと思いますが……」

 「…………分かったわ」


 暗くて本当に何も見えない。でもイザベルは私の左側にいる事は気配と黒い物体で認識出来たので、足で存在を確かめながら近寄る……イザベルを確認すると右腰のナイフを目視で探した。


 「…………………………あ、この少し光っている物体かしら?」

 「そうだと思います。ドレスの模様に同化して見えるような作りなので」

 「ちょっと待ってて……………………」

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