目と目を合わせてからはじめましょう
 はあっー。 重い……

 ていうか、この大男一体どうしたの? さっきまで、機敏に動いていたよね? 何故、倒れた。

 ま、まさか…… 
 死んでるとかじやないよね?

「もしもーし。生きてますか?」

 恐る恐る、肩を叩いてみる。

すっー すっー

 この規則正しい音って、もしかして寝息ってやつ?
 この男、私の胸の上で寝てるの????


 ジャケットを脱いでしまったから、薄いシャツの上での寝息は、妙に胸に生暖かい感覚を伝えてくる。 
 なんか、変な感じだ。

もう〜嫌〜 
どうしたらいいのよ〜

こんなSPいるの? 警護してもらわない方が、安全だった気がする。


「お願いだから起きてください!」

 その声に雨宮は、顔を横に向けて私の胸を枕にした。寝心地の良い場所をゲットしたように、さっきよりも大きな寝息を立て始めた。

 これ、絶対起きないやつだよね。

 流石に、廊下の上では背中が痛くなってきた。ましてや、この大男の体重がのしかかっているのだから。
 何とか抜け出ようと踠いていたけど、流石に息絶えてきた……


 かれこれ、何時間このままでいたのだろう。
 もう、股関節が感覚を失っている。重いし、痛いし眠れるわけなんてない。


どのくらい時間がたったのでしょうか?

 ああ、なんだか外が明るくなってきた。
 夜が明けてきたのですね……
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