目と目を合わせてからはじめましょう
 「えっ? 誰に? そんな事あるわけないでしょ」



 「はあー 咲夜の店の先輩っていう男だよ」

 「ええ? ただの先輩じゃない」

 「そうでもない。この俺に、堂々と宣戦布告してきた」

 「まさか…… だとしても、私が、ドキドキするのも、一緒にいたいと思うのも雨宮さんだけだよ。それで、ヤキモチ妬いてくれたの? ふふっ」

 雨宮が自分の事に、嫉妬してくれたと思うと、何だか顔がにやけてきてしまう。


 「ふっ。なに、にやけてるんだ! 人の気も知らないで」

 雨宮が、ため息をついたかと思うと、唇を重ねてきた。

 「だけどな、俺以外の男が咲夜のことを綺麗だと思っているんじゃないかと思うと、心穏やかじやない。なあ咲夜、そろそろ、その雨宮さんて呼ぶのの辞めてくれないか?」

 「じゃあ、なんて呼べばいいのよ? 呼び捨ては嫌よ」

 「そっかぁ。みんな、呼び捨てだしな」

 「ええ! そうなの?」

 「ああ、大学の友達も、会社の同期は男女問わず、呼び捨てだ」

 「そうだったの」

 あんなに、岸川さんの呼び捨てにモヤモヤしていたけど、皆んなそうなのか。それでも女性に呼び捨てされるのは気分良くない。仕方ない、特別の呼び方考えるか。

 「じゃあ、ターくんとか?」

 「無理だ」

 「太一さん?」

 チラリと上目遣いで雨宮を見る。

 「もう一回したい」

 雨宮の手が、私の腰に周りギュッと引き寄せた。

 「ひえー。もうやめて!」

 逃げるように、お願いしたが、そうはいかなかった。
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