青春は、数学に染まる。 - Second -

文化祭実行委員



新学期。2学期が始まった。





この夏休みは、まともに数学補習同好会の活動をしていないな。
初日に早川先生が用意していた、国語辞典並みの厚さがあるプリントの束は…多分、半分もやっていないと思う。




学校までの道を歩きながらそんなこと考えた。




何だか、数学以外のことで濃い夏休みだったなぁ。




「ところで真帆。結局、浅野先生とはどうなったの?」
「……どうもないよ」

浅野先生に早川先生との関係が知られて、浅野先生にも好きだと言われたことを有紗には話していた。


「しかし、大変だったんだね。私がいない間に楽しいことになってから…!!」
「全然楽しくないからね!? 有紗がいてくれたらどれほど良かったか…毎日そう思っていたよ」


笑いながら昇降口に向かう。
昇降口には立哨当番の先生が何人か立っていた。


飛谷先生、浅野先生、早川先生。


今日は2年生担任が当番なのかな?
1組から3組までの担任が並んで立っている光景が面白い。



…なんて思うが、心の中は感情がフィーバーだ。



浅野先生も気まずいし、早川先生も気まずい。




この前、学校で早川先生と体を重ねてしまったから。
学校で先生の姿を見ると思い出してしまう。


まぁあれは、最初に行動を起こした私が悪いけれど。



「おはよ、藤原さん!!」
「あ、おはようございます…」


浅野先生がニコッと人懐っこい笑顔でこちらに挨拶してくる。
それを見た早川先生の眉間に皺が寄るのも見逃さなかった。


「浅野先生、私もいるけど!? 私にもおはようって言って~」
「的場さんもおはよう!」
「『も』だって!! 出た!! みんな私をオマケみたいに扱うんだから!!!!」


笑いながら校舎に入っていく有紗。

早川先生は眉間に皺を寄せるのを止めて、無表情になっていた。






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