婚前どころか、フリですが ~年下御曹司?と秘密の溺甘同居~
1、可愛い後輩



午前8時30分。街の中枢にあるツインタワーのオフィスエリア。通勤ラッシュを乗り越えて辿り着いた私の職場。
カフェラテを片手に窓の外を眺めると、中層階だから人の顔がよく見える。
こうして始業までの時間を過ごすのが、私、一色小春(いっしき こはる)の日課だ。

ふと、コートに身を包み、寒そうに長身を猫背にして早歩きするくせっ毛を見つけた。
――彼を見つけるのも、もうすっかり得意になってしまっている。

身長180cm越え、スラリと長い手足に、バランスよく整った小顔。はっきりとした顔立ちの、俗に言うイケメンという部類の中、黒髪くせっ毛のおかげで愛嬌も抜群。

そして何故か私に懐いている、ちょっと困った後輩が、今日もそろそろ…――
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