美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

「清水さんにも覚悟していただかないといけないのです。蓮様は旦那様に清水さんとお付き合いしていることをきっとすぐにお話になると思います」

 ガタンと音を立てて私は立ち上がった。は?え?

「まあ、落ち着いてください。お座りください」

 立場が逆転したように、椎名さんが私に座れと手で示す。彼は目の前のお茶を優雅に飲んだ。

「あなたに花言葉のアレンジで撃退をお願いした人は氷山の一角です。蓮様には現在、旦那様を通した縁談もかなりきておりまして、旦那様が断りづらい方もおられます」

「……」

「だからといって清水さんには蓮様と別れてもらっては困りますよ。逃げないでくださいね」
< 179 / 401 >

この作品をシェア

pagetop