美しき造船王は愛の海に彼女を誘う
相変わらず、人の顔色をよく見ている。誰のせいだと思っているのだろう、あなたが人目を惹くせい。こうやって多くの女性を惑わせてきたのね。
「すごい視線を感じるの」
彼は、ため息をついて周りを見た。すると横の席でこちらを見ていた人が目を反らした。
ウエイターを手招きした彼は指をさした。ウエイターが頷いて私たちの背中に当たる扉を開けた。
個室がある。
「こっちに移動しよう。最初からそうすればよかったな。この間この席からの眺めをさくらが気に入っていたからこっちにしたんだけど、実は迷ったんだ」
そういって、私の背中を押して個室へ入れた。二人で入るとウエイターが椅子を引き、テーブルを準備してくれた。