美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 彼が足を止めて私の手を引いた。彼の腕の中に入った。

「花火大会は数日あるが、一日君と海に出よう。その日は誰にもクルーザーを出させない」

「蓮さん」

「二人っきりにする。海を独り占めして、君を……」

 そういって、彼は私に深く口づけた。

「ん、ん……」

 彼は身体をピッタリ寄せて、私をぎゅっと抱き寄せた。波の音の中で彼と抱き合っている。
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