美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

 上にはきらめく夜空。世界でふたりっきりになったみたいだった。

 キスが止められず、何度も角度を変えて深くキスをする。彼の手が後ろから腰に回り首筋へキスが移った。

「……ああ、さくら……」

「……蓮さ……」

 彼はそっと私を腕の中から離した。そしておしまいというように、おでこにキスをひとつ落とした。

「今日はもう遅い。僕も明日早く父を迎えに出ないといけないから今日は名残惜しいが帰るよ。君も帰ると伯母さんに言ってあるんだろ」

「ええ」
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