結婚願望ゼロだったのに、一途な御曹司の熱情愛に絡めとられました


不動産屋を出て、マンションに帰ると、本当に北沢先生はいた。チャコールグレーのチェスターコート姿の先生を見て、不覚にもときめいた。なんだってこの人は無駄にカッコイイのだろう。大学の先生でいる事がもったいないぐらいだ。モデルをした方が世の中の為になるんじゃないかと思えてくる。

私の顔を見てニコッと微笑んだ顔も疲れている時に見るには目に毒だ。ついふらっと引き寄せられそうになる。怒らなきゃいけないのに、ちょっと先生に会えて嬉しい。

「九条さん、随分、疲れた顔をしていますね」
「はい。疲れているので、お帰り下さい。先生と遊んでいる暇ないんです」
「お土産にうちのパティシエの新作ケーキを持って来たのですが」

先生がピンク色のケーキの箱を見せる。

「うちのパティシエってこの間のツインタワーのラウンジの?」
「そうですよ。春をモチーフにした桜のケーキを作ってもらいました」

桜のケーキ。なんて軽やかな響き。是非食べたい。

「でも、お疲れになっているようなので失礼しますね」

先生がケーキの箱を持って背を向ける。
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