クズな君と恋したら

復讐






「っ、ん……!?」


ハッと目を覚ますと、自由に身動きがとれないことに気づく。

なに、私、なんで……!

軽く頭の中がパニックになるけど、必死に落ち着こうと深呼吸を繰り返した。


私、さっきバルコニーにいて……それで、後ろを振り向いたら浮本さんと男の人数人がいて……。


そこからの記憶が、ない。



どうやら私は、大きな建物の一室に拘束されているらしく、手足は縛られて声も出せない状態だった。

そして綺麗だったドレスはところどころ破れ、汚れていて、胸が締め付けられる。


きっと、あの人たちに連れてこられたんだ。


どうにかして助けを……と、縛られている手首を解放しようとしているところで、部屋の扉が開いた。



「姐さん、起きてますぜ!小娘が!」


とっさに解こうとしていた腕を止めて、声の主を見ると、その人は私よりもふたまわりくらい大きな男の人だった。


もしも逆らって殴られでもしたら……なんて、一目でわかるくらい強そうで、怖い。


男は、後ろにいる誰かに嬉しそうに叫んでから、部屋の中に入ってきて私をまじまじと見る。



「おまえが瀬戸の娘か。ふふん、あとでたっぷり可愛がってやるからよぉ」


「っ……」



低くて舐め回すような声で、にんまりと笑うその男は私の目の前にしゃがみ込んだ。


何をする気なの、この男……!


声を出すことも、起き上がることもできない私を面白がるように笑う男を睨むけれど、そんなの全く効果はなくて。





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