クズな君と恋したら
あの時の約束





「あの時はほんと心配したんだよー?」


「あはは、大変だったよ。懐かしいなぁ」






___あれから、5年という月日が流れた。





17歳だった私は22歳となり、もうすぐで大学を卒業する。


そして今日、私は高校の同級生であった心と数年ぶりの再会して、思い出話に花を咲かせていた。





「水上さん、どうしてるんだろうね」


「……」





やっぱり、この話題だけは避けれないよね。

苦しくなった胸元を服の上からぎゅっと押さえて笑顔を作る。




「わかんないや」



へらりと笑うけど、うまく笑えてるかな。

"突然契約が解除されちゃった"それしか話していないから、短期間で転校してしまった綾都に疑問を持つのは仕方がないこと。


あの次の日、数週間ぶりに学校に行けば、やはり綾都も浮本さんも来なかった。

いや、来なかったというか、いなくなった。……と言った方が正しいのかもしれない。


担任は「突如転校することになったそうだ」それしか言わずに、私たちのクラスにはいつも通りの日常が戻った。



「……きっともう、会えないよ」



なるべく思い出さないようにしていたのに。

忘れたかったのに。


毎日つけているネックレスを触るたびに、見るたびに、綾都が首を傾けてピアスが鳴るあの一連の動作が……綾都のクセが頭の中で蘇るの。



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