クズな君と恋したら






みんなでカレーを食べ終え、組み立てたテントに入ると、そこには初めて見る空間があった。



「な、なんか落ち着く……」



いつも寝ている部屋は大きくて、私1人で使うのはもったいないくらいなのに、初めて入るテントの中は窮屈。


もちろん、悪い意味でじゃない。


こんなところに3人も入るの?ってくらい狭いけれど、いざ入ってみるとほっこり落ち着いた。




「いやー、今日も疲れた!」



ふぅーっと息をついて、早速寝袋に入る心。

時刻はまだ22時。



「えーっ、心、もう寝ちゃうの?」


「恋バナとか私しないもーん」



い、いやいや、たしかに恋バナをする気もなかったけど!

私なんて恋バナのネタ、持ってないし……。

早速もう寝息を立て始めてしまった心の横に、しょうがなく私も寝転がる。



いつものふわふわのベッドじゃなくて硬いけど……なんだろう、この安心感。

いつも感じている孤独感なんてない。

……誰かと一緒に寝るって、こんなにも幸せであったかいことなんだ。




リンリンリン……と、テントの外で鳴いている虫の大合唱が今の私には心地よくて。




ハイキングで歩き疲れたからなのか、すぐに私も眠りの世界に引き込まれていった。







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