余命宣告された年下社長に、疑似結婚をもちかけられまして。
五話
前回のシーン
社員A「沙織さんって社長のこと苦手だって言ってましたよ」

俊斗、苦手だと言われてることを知ってしまい大きなショックを受ける。

俊斗(俺のことが苦手なのに、優しいから疑似結婚を受け入れてくれたのか。そうであるなら、もし告白しても絶対に断られる。この同棲生活も終わってしまう。俺はどうすればいいんだ!)



◯俊斗の家(夜)

今夜も手料理をして待っている沙織。
帰宅した俊斗。
沙織はエプロン姿で出迎えた。
俊斗は 胸キュンしている。
しかし、苦手だという噂を聞いてショックを受けて顔色が悪い。
それを見た 沙織は体調が悪いのかと心配をする。

沙織「社長、 大丈夫ですか?」
俊斗「……大丈夫じゃないかもしれない」
沙織「え? (オロオロする)」
俊斗「体は元気だから心配しないでくれ。 心の問題だ」

2人で他愛のない話をして食事をするが、俊斗は病院の誤診だったとなかなか言い出せない。
本当のことを話しても、この同棲生活が終わらないように沙織に好意を持ってもらう必要があると考えた。

俊斗「週末、 俺とデートしてくれないか?」

沙織、男性とデートをしたことがない。
デートという響きだけで恥ずかしそうにしているが楽しみ。

☓  ☓  ☓

食事を終えて 2人はソファーでリラックスしながら話をしていた。

沙織「社長、一緒に暮らしていく中でやってほしいことはありますか?」

俊斗、考える。

俊斗「(真顔で)膝枕」
沙織「そ、そんなことでよければ」
俊斗「いいのか?」
沙織「どうぞ」

俊斗、沙織の膝に頭を乗せる。
沙織(意外にも甘えん坊さん……。可愛い)

怖くて冷たいって思っていたのは、顔が整いすぎているからなのかも。
だんだんと好きになっていく沙織。

◯病院(昼)
俊斗はセカンドオピニオンに行く。
誤診と言われたが、念のためもう一度検査をしてもらった。
しかし、検査結果は健康体。

医者「完全に健康ですね」
俊斗「ど、どこか悪いとかは?」
医者「ご安心ください。このままいけば、百歳まで生きられますよ」
俊斗「そうですか・・・・・・・」

沙織にの本当のことを言わなければいけないなと思っている。


◯街→美容室→ブティック(昼)
せっかくのデートだから おしゃれをしようと言ってくれて、 美容室に連れて行ってもらった。
いつもストレートで地味な髪の毛だったけど、少しだけ ふんわりとパーマをかけてもらって、メイクもしてもらう。
そして ブティックに連れて行かれて、 洋服やバッグなど、全て揃えてくれた。
沙織は元々綺麗なので、美人になっている。
スタイリングが完成した沙織が緊張した面持ちで俊斗の前に立った。

俊斗「沙織、綺麗だ」
沙織「ありがとうございます……」
俊斗「じゃあ、行こう」

自然と 二人は手をつないだ。沙織は恥ずかしいけれどドキドキしている。


◯クルージング(夜)
船を貸し切ってのクルージング デート。
デッキで東京の夜景を見ながら2人は寄り添っている。

沙織「東京の景色を こうやってあまり見たことがないからすごく新鮮です」
俊斗「喜んでくれて 俺も嬉しい」

俊斗の横顔を見てうっとりしている。
一緒に過ごせば 過ごすほど、 過ごすほど優 過ごすほど優しい人だ。

沙織(ずっとそばにいたい。ずっと生きてほしい)

室内に移動しクルージングディナーを楽しむ。
グラスにはシャンパンが注がれ、乾杯する2人。

俊斗「アルコール、苦手なんだから無理するなよ」
沙織「はい。少しなら大丈夫です」

皿に盛られた綺麗な料理が運ばれてくる。
どの料理も美味しくて沙織は満面の笑みを浮かべていた。
美味しそうに食べている沙織を見て俊斗も嬉しそうにしている。
楽しそうに会話していた。

俊斗「俺との生活はどうだ? 無理してないか?」
沙織「はい! 楽しいですよ」

満面の笑みに俊斗は心が奪われる。

沙織「私はずっと両親の言いなりだったんです。 やっと就職することが許されて……。今は、社会に出て働くことができて充実しています」
俊斗「そうだったのか」
沙織「社長の会社に入れてよかったです」
俊斗「こちらこそ。俺の会社に来てくれてありがとう」

二人の間に穏やかな空気が流れている。

沙織「社長のご家族のことを聞いてもいいですか?」
俊斗「あぁ……。両親を早くに事故で失って、妹と二人で生きてきた。必死で働いてきたんだ。恋愛する余裕もなかった」

沙織、黙って話を聞いている。

俊斗「余命宣告された時、家族がほしいと思ったんだ。パートナーと思い出を作って一緒に過ごして、そういうことがしたいって…」

切なそうに話しているのを聞いて、何でも言うことを聞いてあげたいと思う沙織。
そして1日も長く生きてほしいと強く思う。

俊斗「俺のわがままに付き合わせてしまってごめんな」

今までに見たことのない優しい瞳をしていた。
苦手だと思っていたのに、自分の勘違いだったと思う。

沙織「いえ。こんな素晴らしい会社を作ってくれた、恩返しです」

俊斗(いい子すぎる! 年上だけどピュア!!! からこそ、罪悪感。言わなければ!!)

俊斗「言わなきゃいけないことがある 」
沙織「なんですか?」
俊斗「誤診だったんだ」
沙織「えっ……。ど、どうして騙したんですか!」

沙織、大激怒。

俊斗「違うんだ!」
沙織「ひ、ひどいです! 真剣に考えたんですよ。からかったんですか?」
俊斗「だから、違うんだって」

五話 おわり
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