愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
検査キットを買ってきてやってみた結果は陽性だった。

「どうする?
どうするよ?」

最初から宣利さんに知らせるという選択肢はなかった。
別れてしまった今、迷惑をかけるわけにはいかない。
それに慰謝料としてもらったお金で十二分に子供を養える。

「とりあえずお父さんとお母さんに相談だよね……」

そっと自分のお腹を撫でてみる。
困った事態にはなったが、不思議と後悔はなかった。

今日、父は接待で帰りが遅い。
母とふたりなのはラッキーだ。

「花琳ちゃん、眠いのはどう?」

心配そうに母が聞いてくる。
今日も夕食を母が作ってくれて、大変申し訳ない。

「……眠い」

今だって気を抜くと眠りそうになる。
しかしこれが赤ちゃんがもたらすものだと思えば、仕方ないと割り切れた。

「ほんと、どうしちゃったのかしら?
一度、病院行く?」

「あー……。
赤ちゃん、できた、……かも」

曖昧に笑って母の顔を見る。

「……は?」

なにを言われたのか理解できないのか、一音発したまま母は固まった。

「え?
今、赤ちゃんができたって言った?」

一瞬のち、おそるおそるといった感じで母が聞いてくる。

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