愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
怒りを露わにし、典子さんは軽くテーブルを叩いた。

「失礼もなにも。
ああいう考えは改めてもらわねば困るといつも言っているのに、全然聞いてくださらないじゃないですか。
おかげでいくつも苦情が上がってきていますし、危うく訴訟に発展しそうになったのはお忘れですか」

「うっ」

宣利さんの指摘で典子さんは喉を詰まらせた。
宣利さんの言い分はわかる。
前に勤めていた会社にも「これくらい軽いスキンシップだろ」とか言ってお尻を叩いてくる役員とかいたもの。

「とにかく。
花琳に嫁教育とか不要です。
話はこれで終わりですか?
ではお引き取りを」

宣利さんは立ち上がり、典子さんに帰るように促そうとしたが。

「お父様とお母様の許可は取っているわ!」

「……え?」

さすがにそれは想定外だったみたいで、宣利さんが固まった。

「父さんと母さんが許可を?」

「そうよ」

ふふんと得意げに鼻を鳴らし、勝ち誇ったように典子さんが笑う。

「私に一任くださったわ」

「……はぁーっ」

額に長い指を当て、痛そうに宣利さんは何度か頭を振った。

「……あなたはまた、父さんたちを脅したんですね」

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