愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
第四章 大事なのは私でなくても
ベッドに横になり、ぐったりしていたらドアがノックされた。

「花琳……?」

ドアの外からは宣利さんの声が聞こえてくるが、返事をする気力もない。

「入るよ……?」

おそるおそるといった感じで彼が入ってくる。

「NyanNyan、電気つけて」

真っ暗だとわかり、宣利さんはすぐにスマートスピーカーへと指示を出した。

「大丈夫か?」

私の枕元に座り、心配そうに彼が聞いてくる。
もそりと動き、その腰に抱きついた。

「なにを、させられた?」

そっと彼の手が私の髪を撫でる。
でも、聞かれても答えられない。

今日は典子さんに呼び出され、同じようなセレブの奥様が集まるランチ会に連れていかれた。
しかも事前に説明なしで、だ。
当然、その場にふさわしい格好などしていない。
マナーも知らないのかと笑われた。
その場にいるのは典子さんと大変仲のいい方たちなので、その後も馬鹿にされ、笑われ続けた。
しかも立食で、私は典子さんに命じられるがままに奥様方を接待してまわり、座らせてもらえない。
これのどこが嫁教育なのかわからないが典子さん曰く、「上流階級の奥様としての品位を学ぶため」らしい。
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