愛のない政略結婚で離婚したはずですが、子供ができた途端溺愛モードで元旦那が迫ってくるんですがなんででしょう?
「じゃあ、僕は仕事に行ってくるけど。
花琳はおとなしくしてるんだよ。
今日は帰ったら食事に行こう。
レストラン、予約しておくよ」

「ん」

ちゅっと軽く、宣利さんがキスしてくる。

「いってきます」

「い、いってらっしゃい」

ぎこちないまでも手を振って、部屋を出ていく彼を見送る。
ひとりになってぽふんとベッドに寝転んだ。

……怒られちゃった。

自分でも友人が同じようにやっていたら怒る自信がある。
なのに自分はやるなんて本当にダメダメだ。

「わかってるん、だけどな……」

典子さんにこんなこともできないのかと侮られるのが嫌だった。
私のせいで宣利さんの評価を落とすのが嫌だった。
――けれど。

「君もいるんだから、もうちょっと考えないとね」

そっと自分の下腹部に触れてみる。
まだ実感はほとんどないけれど、病院で見せてもらった画像には確かに小さな命が映っていた。
この子のためにも、もっと自分を大事にしないといけないな。

「でも、また典子さんから呼び出されたらどーしよー」

いっそ、最初からボイコットすればいいんだろうが、行かないと鬼電がかかってきて、ここまで迎えに来られそうで怖い。
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