続▪︎さまよう綸
 その後は綸の思うがままに翻弄された。俺が好きに出来ない今は借りておこうか。

 何より綸の気持ちが嬉しい…吉宗の世話で手が一杯で体もラクではないはずだが変わらず俺を愛していると出来る限りの手段を使い伝えてくれる。

 疲れた綸を待っていたのは2時ごろの授乳だった。俺の上に綸を座らせその上で授乳をさせる。綸が自力で座らなくてもいいように…ただ凭れていればいい。

「一生懸命吸うの…可愛いよね」

 今にも寝そうなとろんとした目で吉宗を見ながら言う綸に

「吸われてる綸が綺麗だ」

 額にかかった髪をよけてやりながら言う。そして胸が大きく動かないように小さくクスクス笑う綸の頭に顎を乗せて続けた。

「俺のモノを吉宗に貸してやってるんだ、ふたつも」
「ふふっ、そんなこと言ってるからさっきいいところで吉宗が泣いちゃったんじゃない?」
「確かに邪魔されたな」
「…正宗…」
「ん?」
「正宗が…お父さんになっても…おじいちゃんになっても…大好きだよ」
「ん、俺も…俺は死んでも愛してる」
「ありがとう、正宗。吉宗も大事にしようね」
「綸の次に大事にする」
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