そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~
「握手してもられる?」

 近藤社長が伸ばしたごつごつした手を私は両手で取った。

「ありがとうございます」

 たまらず涙が溢れた。

「涼介君が君のピアノを独り占めするのは納得いかないな」

 握手をしながら近藤社長は笑う。

「是非聞きたいわ、あなたのピアノ」

 近藤夫人!

「今度、我が家においで下さいな。使われていないグランドピアノがあるの。あなたが来るまでに調律しておくわ。それから…」

 ホテルで会った時に失礼な態度を取ってごめんなさいね。と謝られてしまった。

「こ、こちらこそTPOもわきまえず」
「あれは、僕の責任なんです。強引に彼女を連れて行ったから」
「いやいや、こいつが悪いんだよ。こいつだって元は田舎者なのに、ちょっと金持ちになったからって気取るから」
「まぁ、あなたったら、やめて下さいな」

 近藤エレクトリックは元は岩手の小さな電気屋さんが発祥だたそうだ。
 それを近藤社長が一代で大きくしたらしい。

「結婚したころは、まだまだ会社は小さくて、母ちゃんと一緒に頑張ったんだよ。なぁ」

 振られて近藤夫人は頬を赤らめる。

「そうですね。思い出すと懐かしいわ」

 思いがけず、近藤夫妻の歴史を聞かせてもらって心が温まる。

「お二人は支え合って、ここまでになったのですね。僕も美里がいれば、どんな困難だって乗り越えられます」

 涼介さんは言ったのだった。

 
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