そんな簡単に彼女を決めていいんですか? ~偶然から始まる運命の恋!?~

第二話

「昨日はすみませんでした」

 私は朝一番に飯倉さんに謝った。
 
「ハンカチはお休みの時に買いに行ってきます」

 彼女はクスっと笑う。

「だから気を使わなくていいの」

 飯倉さんはそう言うけれど、ちゃんと返さないと私の気が済まない。
 いつもお世話になっているから、彼女の好きなお菓子も一緒に渡すつもりだ。

 それに、昨日の呼び出しの件も一度しか聞いて来ない。
 会社を揺るがす大事件とか、マスコミ沙汰にはならないとか、社内のもめ事とかではなさそう。と飯倉さんなりに察したに違いない。だからもう聞いて来ないんだと思う。

 今日も聞かれたらどうしよう?
 などと気に病んで、あれこれ言い訳を考えていただけに正直ありがたかった。

 察しのいい飯倉さんだから、いずれバレてしまうかもしれないけれど。

 そして、察しが良くないのは同期の三島(かえで)だった。

「ちょっと聞いたわよっ。社長室に呼ばれたんだって?」

 がやがやと賑わう社食でのこと。

 私はバッグからゴソゴソと手作りのお弁当を出す。
 お弁当と言っても大したものではなく、おにぎりと卵焼きにウィンナー。

「聞いたって誰から?」
「工藤さんから」

 ああ、工藤さんか。
 確かにあの時デスクにいたっけ。
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