情愛漂う財閥社長は、一途に不遇女子を寵愛する。
エピローグ



 それから一ヶ月後、私は藤沢家ではなく酒蔵にいた。


「優菜さま! ただいま戻りました」


 酒蔵には酒米を蒸す担当者の釜屋、麹造りの担当者の麹屋、酵母造りの担当者である酛屋、もろみを搾る工程の担当者は船頭という役職がある蔵人が集まっていた。

 今回の騒動は多大なるご迷惑をお掛けしちゃったが、彼女らが居なくなって辞めさせられてしまった使用人たちを八尋さんにも手伝ってもらって探した。
 そして力を貸して欲しいとお願いしたら戻って来てくれたのだ。


「本邸も、一気に雰囲気変わりましたね。やっぱり優菜様は優美様とセンスが似てるから、落ち着きます」

「ふふっ、ありがとう。今まで、派手なものだらけで邸に合わないものばかりだったからね……」

「ですよね。そうだ、もうすぐ八尋さんがいらっしゃいますよ」

「もうそんな時間!? 支度をしなくちゃ!」

「お手伝いいたしますよ」

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