もう、あなたを愛したくありません〜ループを越えた物質主義の令嬢は形のない愛を求める〜

3 因縁の出会い

「おはようございます、お嬢様。朝のお支度を――」

「結構よ。今日は……いいえ、これからは支度は全て自分でやるから。あなたたちは他の仕事をやりなさい」

 キアラは寝室に入ってきたメイドたちを冷たくあしらう。
 昨日までは優しくて……むしろ少しおどおどしていて扱いやすかった主人の豹変した態度に、メイドたちは面食らった。

 彼女たちは少しの間その場で固まっていたが、キアラにぎろりと一睨みされて慌てて部屋を出て行く。そしてコソコソとお嬢様の噂話にいそしむのだった。

「はぁ……」

 扉越しに聞こえてくる使用人たちの囁き声にうんざりしながら、キアラは一人で身支度をはじめる。
 プロのメイドのように凝った髪型はできないけど、清潔感を保てればそれでいい。ぬめぬめした汚い地下牢にいた頃に比べたら、櫛を通せるだけずっとマシだ。

 六回のループをくぐり抜けて七回目の人生が始まった彼女には、他人を信じるという気持ちはもう残っていなかった。
 侍女も、メイドも、料理人も、庭師も……そして家族も、何度も自分を裏切った。暗殺されかけたことだってある。

 そんな薄情な他人の群れを誰が信じられるの?

 彼らは今回もまたダミアーノから買収されて、自分のことを――…………、
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