君の隣にいられたなら。
「あげる。元気になってからでもいいから飲みな」


私のテーブルに2本の飲み物を置いた。
思い出したのは学校を休み出す前に最後に会った綺音と。
ちょっぴりのヤキモチ。


普段なら聞かないのに、私は多分、本当に朦朧としてた。


「……綺音、来ていいの?」
「何で?心配だから来たんだけど」
「だって……この前の、彼女じゃないの?」


ポロッと思っていた疑問がこぼれてしまった。
まだ熱なのかなって思うだけで特に焦りとかはなかった。
ただ、私の純粋な気持ちをぶつけただけ。


「あ、え、違うけど」


キョトンとした顔で私を見つめる綺音に、私もキョトンとしてしまった。


「一緒にクラス委員してる女子。あの日は、体育祭の買い出し一緒に行っただけだよ」
「……そっか、ならいいんだけど」


絞り出した言葉は何も可愛くなかった。
ただちょっと、安心がはらんでしまった。


安心して、せっかくお見舞いに来てくれたのに意識を手放した。


せっかく話をする機会だったのに、とか、こうやってずっと、2人で話したかった、だとか。
やっぱり、好きだなあなんて、曖昧な頭の中で思っていた。
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