悪魔なあなたと結婚させてください!
それでも誰とも交際しない幸を、以前の幸をよく知らない社員たちは不思議がっていた。

「もしかしたら今でも好きなんじゃないかなぁって」

中川の言葉に口の中にある野菜を吹き出してしまいそうになり、慌ててお茶で流し込んだ。
信じられない気分で振り向くと視線があってしまい、慌ててそらす。

中川は今でも女子社員たちに人気の存在だけれど、部屋に戻れば中川よりもずっとカッコイイアレクが待っている幸にとってはもはやどうでもいい存在だった。

まだ好きとか、本気で考えているんじゃないだろうな?
聞こえないふりをして食事を続けていた幸の元へ中川が近づいてきた。

その自信に満ちた笑みを前にして幸は箸を持つ手を止める。
「今の君となら、付き合ってあげてもいいよ?」

爽やかな笑みを浮かべてそう言ってのける中川に幸は一瞬言葉を失った。
どうしてこんなにも上から目線で人に接することができるんだろうと、不思議に感じる。

思えば幸が告白したときもそうだった。
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