心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
激しい鼓動
そう言って遼はダイニングテーブルで絵を包みなおすと、リビングで立ち尽くす紗知子に近づき、細い体に腕を回した。

「紗知子ちゃん、好きだよ。紗知子ちゃんのこと、もっと知りたい」

遼が紗知子のあごを、そっと掬い上げた。

形の綺麗な唇が、近づいてくる。

「待ってください…」

突然、胸の鼓動が激しくなった。呼吸が浅くなり、めまいがする。

「苦しいっ…」

足元がふらついて、床にしゃがみこんだ。息ができない。床がぐらぐらと揺れるような心地がする。

「大丈夫?」

屈んで紗知子の顔を覗き込む遼の顔が、光に溶ける。目の前が真っ白な光に染まった。
喘ぐように息をし、胸元を掻く。

「ごめんなさい…薬、薬を」

震える手でキャビネットの子引き出しを指さした。


その時、リビングの掃き出しの窓に人影が現れた。

「紗知子、大丈夫か」
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