ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~

プラドのバザール

『五日に一度、お休みをいただきます。
 次のお休みは○日です』

 ビオレッタが道具屋の扉に張り紙を貼っていると、ちょうど武器屋のシリオが通りかかった。
 彼はビオレッタの隣に並び、しげしげと張り紙を眺める。

「おお。勇者様もその日は休むって言ってたぞ。デートでもすんのか」
「ち、違う!」

 ビオレッタは慌てて否定した。
 ラウレルには他の街に連れていってもらうだけだ。決してデートなどでは無いのだ。

「なんだ。サクッとデートしてサクッと結婚しろよ。何をモタモタと」
「シリオ、あなた勇者様をなんだと思ってるの」

 シリオは竹を割ったような男だった。こうしていつも、雑に急かす。

「勇者様、いいじゃねえか。男前だし金持ってるし強いし。村の奴らに言われるがまま俺と結婚するより、ロマンがあるんじゃねえの」
「ロマンって……」



 シリオと店の前で立ち話をしていると、突然、道具屋の影からガタンと大きな物音がした。

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