ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~

グリシナの浜辺

 プラドのバザールへ行ったその翌日。ビオレッタは、積まれていた箱の山に手をつけた。

 大小積み重なる木箱、それらはすべてプラドのバザールで商人達から贈られたものだ。
 彼らからの贈り物は、指輪以外にもこんなに沢山……並べていると、道具屋のカウンターを占領してしまうほど。

 謎のスパイスやお茶などの食品は、ラウレルに使い方を教えてもらいながら少しずつ使っていくとして……
 鮮やかな異国の壁飾りは、自室に飾ることにした。
 木彫りの置物は、道具屋のカウンター脇に置いてみる。
 緻密な細工の骨董品は、普段使いが出来そうもないので宝物としてしまっておく。

(あと、使えないものといえば、これね……)

 彼等からの贈り物には、シルクのドレスや、豪奢なネックレスなどまで混ざっている。グリシナ村では見ることも出来ないような美しいものだ。

 しかしこのように高価なもの、グリシナ村のような田舎にいては一体いつ身につけることができるだろうか。もしかしたら、一生着る機会は無いかもしれない。

 せっかく贈られたものなのに勿体ない……とは思いつつ、ドレスとネックレスも大切にクローゼットへ眠らせる。

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