お嬢様は今日も美しい
 
 のこのこ出てくるとか、何を言っているのか。あなたが呼び出したのでしょうに。そうでなければ、今頃はダンスパーティーを楽しんでいるはずだったのですが。
 TPOもわきまえず、場を壊していることさえも気づかない王太子の茶番劇に付き合っているだけでも感謝してほしいものですね。

 お嬢様と目が合った時に見惚れていましたよね? 目元がうっすらと赤くなっているように見えますが。

「お呼びだと耳に致しましたので伺ったのですが、必要なかったということでよろしいでしょうか?」

 用がなければ退散する素振りを見せるお嬢様に慌てる王太子。嫌味まがいのセリフにも動揺も見せず淡々と返されては、立つ瀬がない。

「い、いや……そうじゃない」

「ベルさまぁ」

 場にそぐわない甘ったるい声がした。



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