お嬢様は今日も美しい

 親しく愛称で呼び、うるるんとした瞳で上目遣いで王太子を見つめ、指を絡めて体を密着させる男爵令嬢。

 以前は平民だったという彼女は男女問わず身分関係なく馴れ馴れしい。貴族令嬢らしくない行動は、人によっては新鮮に映るようで。これが彼女の武器なのでしょう。王太子がデレたのがわかった。
 男子生徒の中にも彼女に好意を寄せている者もいるとか、親衛隊がいるとかいないとか……。噂ですけどね。

「ああ、わかっている」

 我に返ったのか一つ咳ばらいをして口を開くと

「フランチェスカ。お前は公爵令嬢という身分と俺の婚約者であることを笠に着て、コレットをいじめたな」

 なんともありえないことを言い始めた。



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