恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜
Spot12 オーベルジュ・Cerisier 2
スリジエのメニューはフランス料理のフルコースだった。
アミューズは豚肉のリエット、前菜にキャビアの乗った海老とサーモンのタルタル、ホワイトアスパラのポタージュには帆立が添えられている。
胡桃はその一つひとつに目を輝かせた。
「味はもちろんですけど、見た目もきれいで感動します」
「そんなにおいしそうに食べてもらえたら料理も幸せだな」
壱世に穏やかに笑いかけれ、胸がギュッと複雑な音を立てる。
「こうやってコース料理を食べていると、十玖子さんと三人で食事をした時のことを思い出します」
パイで包まれた白身魚にナイフを入れながら、胡桃は三か月ほど前のことを懐かしむように言った。
「あの時は全然テーブルマナーなんかわからなくて、十玖子さんのこともちょっと怖くてドキドキしちゃって、半分くらい味がわからなかったです」
料理の皿を見ながら「ふふ」と苦笑いをした。
「だけど今日は、あの日よりはずっと自信を持って席につけてます。壱世さんみたいにきれいな所作はまだまだ難しいですけどね」
彼の方を見てまた笑う。
「そういえば先週、初めて一人で着物を着られたんですよ」
「ああ、この前十玖子さんに電話した時に聞いた。嬉しそうにしてたよ」
「本当ですか?」
(婚約者のフリが終わる前に、十玖子さんを喜ばせられて良かった)
目が少しだけ潤んだのを感じる。
「十玖子さんの指導は……」
胡桃は白ワインのグラスを片手に話す。
アミューズは豚肉のリエット、前菜にキャビアの乗った海老とサーモンのタルタル、ホワイトアスパラのポタージュには帆立が添えられている。
胡桃はその一つひとつに目を輝かせた。
「味はもちろんですけど、見た目もきれいで感動します」
「そんなにおいしそうに食べてもらえたら料理も幸せだな」
壱世に穏やかに笑いかけれ、胸がギュッと複雑な音を立てる。
「こうやってコース料理を食べていると、十玖子さんと三人で食事をした時のことを思い出します」
パイで包まれた白身魚にナイフを入れながら、胡桃は三か月ほど前のことを懐かしむように言った。
「あの時は全然テーブルマナーなんかわからなくて、十玖子さんのこともちょっと怖くてドキドキしちゃって、半分くらい味がわからなかったです」
料理の皿を見ながら「ふふ」と苦笑いをした。
「だけど今日は、あの日よりはずっと自信を持って席につけてます。壱世さんみたいにきれいな所作はまだまだ難しいですけどね」
彼の方を見てまた笑う。
「そういえば先週、初めて一人で着物を着られたんですよ」
「ああ、この前十玖子さんに電話した時に聞いた。嬉しそうにしてたよ」
「本当ですか?」
(婚約者のフリが終わる前に、十玖子さんを喜ばせられて良かった)
目が少しだけ潤んだのを感じる。
「十玖子さんの指導は……」
胡桃は白ワインのグラスを片手に話す。