先生、それは✗✗です…!
「…うん」


新学期初日に、保健室でわたしが鳥羽先生の部屋に忘れていたワイヤレスイヤホンを返してもらって――。


『じゃあさ、せっかく生徒と教師で再会したことだし…。俺が、イケナイコト…教えてやろうか?』


…ちょっとからかわれただけ。


それ以降、鳥羽先生はわたしを1人の生徒として、他のクラスメイトと同じように扱ってくれている。


なんだか…わたしだけが勝手に意識しているみたい。


「じゃあ、いいじゃん。あの夜のことはなかったってことで。鳥羽先生だって教師なんだから、自分のクラスの教え子には手は出さないでしょ」

「“教え子”…ねぇ〜」


わたしはそうつぶやきながら、紗穂に目を移す。


「それなら紗穂は、その“手を出された教え子”ってわけだ」

「まぁね〜♪」


紗穂は、恥ずかしげもなくにんまりと笑う。
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