腹黒王子様の溺愛が規格外。
悪役の最後【side 陽菜】
私は生まれてからチヤホヤされてきた。

絶世の美少女……なんて言葉、私のためにあるとしか思えない。


私に追いつける顔面偏差値のヤツなんか、この世に存在しないと思っていた。

だけど……たった1人だけ、いたのだ。


名前は桃瀬桜。ありえないほど美人……めちゃくちゃ綺麗だと、私でも思った。

だけど私たちは同じぐらい、超美人。好みによって人気は分かれる。

タレ目でふわふわした髪を持った私は男なんかイチコロ。

だったけど……性格で負けているみたいだった。



お母さんは私のことばかり可愛がった。そりゃそうよね、元妻の子供があれだけ美人だったら妬むわ。


お兄ちゃんもそう……思っていたのに。


初めて会ったその日から、桜に目を奪われていた。


お父さんは単身赴任でほぼ家に帰って来ず、私とお母さんからいじめられている桜を庇うのはお兄ちゃんのみ。

イケメンなお兄ちゃんを恋人のように愛していたお母さんは、お兄ちゃんの言うことならと言って、桜を大事にすることを許した。


私はそれが許せなかった……。


生まれつきものに執着のないお兄ちゃんが、唯一惹かれたのが桜?そんなの許せない。


誰であろうと、この可愛くて綺麗な私に惚れるべきなのよ……!!



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