腹黒王子様の溺愛が規格外。
ポカンとしながら三上さんの方を見た蓮くんは、冷や汗をかきながら私の方を見てくる。


「今の全部……見られてた?」

「うん、ばっちり見られてたと思うよ」

「……詰んだ。多分弱み握られたどうしよう」

「大丈夫だよ蓮くん……」


ポンポンと頭を撫でると、安心してしまったのかまた眠りについてしまった。


寝起きの蓮くん結構温度差がある。朝からキリッとしている時と、めちゃくちゃ甘えん坊な時がある。


「す、すみませんお見苦しいところを……」

「……いや、それはいいんだけど、桜ちゃんも意外と蓮にゾッコンだったんだね」

「へっ……?」

「ううん、なんでもないよ。また来るね〜」

「あ、はい……!」


お見送りなんてできる状況ではなく、軽く会釈をした。

きっと三上さんなら許してくれるだろう……そう思っていると、一度部屋から出た三上さんが戻ってきた。


「桜ちゃん、連絡先聞いてもいいかな」

「連絡先ですか……?」

「うん、蓮の大事な人だからさ」

「……!わかりました!」


友達の婚約者だから、知っておきたい……そう言うことだよね?

それなら、なんだか嬉しいなぁ。


スマホを取り出して、連絡先を交換した。

そして三上さんは帰ったのだった。


3分ほどあと、またインターホンが鳴る。


先ほどと状況は全く変わらなかったので、また蓮くんから脱出して玄関に向かう。

その途中で、私はまだネグリジェのままだということに気がついた。

も、もしかしてだらしない格好してたから三神さんは恥ずかしそうにしてたのかな……!?


ど、どうしよう契約破棄になったりしたら……。

いやいや、三上さんはいい人そうだったし、まさかそんなことにはならないよね……。



もう一度インターホンが開いて、はーいと返事をする。


扉を開けた先には……。


「助けてお姉ちゃん!!」


陽菜ちゃんが、いた。


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