腹黒王子様の溺愛が規格外。
「はっ、このぐらいどうってことないわよ」

「桜が無事でよかった」


2人がいて、とても心強かった。


そしてお屋敷に3人で車に乗り帰る。


「そういえば蓮くん、なんで私の場所がわかったの?」

「あ!!そうよそれ、桜の全部の服とスマホに——」

「愛のパワーかな。桜とはどこにいても繋がってるからね」

「そっかぁ!いつか私も愛のパワー使えるようになるといいな」

「ふふっ、そうだね」


陽菜ちゃんが何か言っていたような気がするけど、気のせいだと思っておこう。

そんな中、車に着信音が響いた。


「……私だわ」


陽菜ちゃんがスマホを取り出して、電話に出る。


「……え!?お兄ちゃんが!?」


お兄ちゃん……?何かあったのかな?


「桜、あんな兄のことなんか心配しなくていいんだよ」

「う、うん……」


でも……小さい頃は唯一の味方だったお兄ちゃんだから……。


「桜、大変よ!!お兄ちゃんが、お兄ちゃんが……!!」

「な、何……!?」

「飛び降りようとしてる!!」

「えっ……!?」

「お兄ちゃんが通ってる大学の建物の屋上にいるみたい……!桜が来ないと死ぬって……!!」

「な、何それ……!?」


なんで今更お兄ちゃんが……!?


「桜、行かなくていいよ」

「で、でもお兄ちゃんが……!!」

「桜にひどいことしたらヤツなんだろ?別にいいじゃないか」


ポンポンと頭を撫でるお兄ちゃん。


「っ……ごめん蓮くん、私お兄ちゃんがいなくなったら困るのっ……お願い行かせて……?」

「……わかったよ。可愛い婚約者のお願いだから叶えてあげないとね」

「ありがとう……!!」


蓮くんの頬にそっとキスを落とすと、顔を真っ赤にしながらそっぽ向いてしまった。

だけど、運転手の佐々木さんに行き先を伝えて変更してくれた。


数十分後、大学に着く。


待っててお兄ちゃん……!!ちゃんと行くから、まだ飛ばないで……!!


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